物 語
感 想
ポツドールの噂はきいていたけれど、さほど興味が持てず、現実がつまらないから劇場に行くのに、そこでもまたつまらない現実を見るなんて、不毛すぎる。
というからだが、幸か不幸か松尾さんの出演が決まってしまった。
行くしかない。
冴えない日常を等身大で丁寧に描いた芝居。
なにがどう裏切るのかよくわからない。
恋人を裏切ったからか、夫を裏切ったからか、いや、裏切ったのはきっと日常に埋没する自分だ。
彼らが不倫に溺れたのは、それが非日常だったからだ。
非日常は残念ながら日持ちがしない。
慣れてしまえばもう、それはまた別の日常。
抱き合うことも惰性に他ならない。
修羅場になった時、彼らはひそかに喜んだのではないだろうか。
またしても新たな非日常が出現したのだから。
本当にここはイキガツマル。
逃げ出せないつまらない現実を容赦なく突きつけてくる。
そうか、リアル派ってこういうことだったのか。
いつだって一番怖いのは日常で、一番よくわからないのはいつも隣にいる恋人だ。