物 語
感 想
坂本昌行と言えば、自分の中では燦然と輝くミュージカルスターなのだ。
今回は歌も踊りも封印し、あえて小劇場系な地味なお芝居に挑むんだそうだが、やはり、そこには燦然と輝くスターはいなかった。
まあ、地味な役なので、役作りとしては正しいたんだけども。
アリバイ会社にやってくる人たちの悲喜こもごも。
主役は成り行きでアリバイ会社で働くことになってしまった、リストラされたサラリーマン。
リストラされたり、お水を隠したかったり、マトモな会社で働いていることにしたい人たちが、アリバイ会社を利用する。
そこは社会の吹き溜まり、天使なんてどこにもいやしない。
弱いが故に社会に押しつぶされている人たちとかかわるうちに、主人公の心境も変化していく。
高い空に手を伸ばし続けるよりも、地に足つけて歩いたほうがいいんじゃなかろうか。
生きていくとは生活の積み重ねで、生活とはイベントじゃない。
地味でつまんなくて、笑うことより溜息つくことのほうが多い。
それでも、積み重ねていくうちに、いつかそれは空よりも高くなる。
でも、やっぱり坂本さんはミュージカルで観たい。