ジャンヌ・ダルク
　

手のひら返しは古今東西よくあることだし、上げて落とすことも現在のマスコミが最も得意とするもの。
史上最強の手のひら返しとは、やはり、このジャンヌダルクではなかろうか。
聖女から魔女へ。
そこには男たちの嫉妬が渦巻いているのだ。
彼女はただ、愛する者を守りたかっただけなのに。
中島かずき脚本ということで、ダイナミックさを期待していたけれど、どちらかと言えば繊細な心理劇の印象。
ただ一つ変わらないジャンヌ。
変容していく周りの人たち。
純真で真っ白だからこそ、汚してやりたいと思うのだろうか。
ああ、人間とは所詮、下種の集まり。
最後までぶれない芯の強さを堀北真木が好演。
そりゃあ、ベテランに比べれば演技につたないところもあるけれど、それさえも健気に映るのだから、やはり見かけは大事だ。
とにかく、可憐の生け作り。
こんな可愛い子が先頭に立ったら、そりゃあ、兵士も奮い立つだろうと思う。
伝説の棒と危惧されていた伊藤英明も存外よかった。
白井さんの演出が的確だったのか、芝居が上達したのかわからないが、少しだけ伝説を期待していたので、つまらなかったり。