物 語
感 想
黒沢明「七人の侍」を原案としたアニメの舞台化、というヤヤコシイ背景を持つ本作は、痛快活劇エンターテインメントで善悪がきっぱりわかれていて、とてもわかりやすい。
弱い者は狡い。
弱いからこそ狡く立ち回らないと生き残れないのだ。
時にその弱さは強さを凌駕する。
結局のところ、この作品で一番弱かったのは 王で、弱いからこそ誰も信じられなくなり、自分のクローンを大量に作り、更にそのクローンすらも信用できなくなった。
これはもう、無間地獄だ。
生きている限り、安寧の時など訪れない。
かえって強い者は仲間を信じ、自分を信じる。
自分が倒れても、仲間が目的を果たすと信じられれば、笑って死地へと赴けるのだ。
ハッピーエンドかと思わせての総力戦突入の後半へ。
構成としてはかなりありがちだけど、七人それぞれの見せ場を作るには仕方があるまい。
若手イケメン役者たちが華やかに立ち回る姿は、それだけで一服の絵のようだ。
眼福。
意外だったのは、中川くんの悪役ぶり。
もともと歌手なのでミュージカル俳優へ転身するのはわかるけど、普通の舞台でも十分やっていける演技力。
悪辣で憎たらしく、そして、ものすごく脆い。
その脆さを人間的魅力につなげられれば、もう少し深みのある役になったのに、ちょっとそれだけが残念だ。