物 語 準備中……
感 想 新感線といえば、華やかなで善悪はっきりした活劇劇団という色合いが強いが、青木豪を脚本に森田剛を主演に迎えた本作は、あえてモノクロの男の世界を追求した、という印象を受けた。
狂犬と恐れられた岡田以蔵。
純粋で愚かだからこそ、武市半平太と出会ったことで、彼の人生は狂う。
ただひたすら、前だけ見て、まっすぐまっすぐ、邪魔するものはすべてたたき切って、だってそれだけが自分の存在価値なんだから。
森田剛の以蔵はただひたすら純粋。
純粋が故に、抜き身の刀のように落ち着かずいつもギラギラしている。
小汚く、犬のように嫌われ、地面に這いつくばっても、己の道を貫こうとした。
でも、作演出コンビはけっして、その姿をヒーローに描かなかった。
以蔵は最後までカッコ良くない、カタルシスを感じる見せ場もない、ただただ理想を追う周囲に同調するだけの哀れな存在だ。
だからこそ、森田剛の以蔵は輝く。
本当にダメでダメな人間が最後までダメだった時に見せる、一瞬の輝き。
嵐が去った後の黄金の夕焼けのように。
以蔵の人生は最後の最後で輝いて終わるのだ。
新感線新チャレンジらしい、骨太な男の芝居。