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集英社
11/04/09
1238円＋税

日本国内だけでなく、海外へも進出している博多一風堂。
その経営者は、エリート一家の落ちこぼれだった。
学生時代からぐれ始め、ついには犯罪に手を染め、家族を泣かせた河原。
夢を持っていなかった彼は、人生の目標を定める。
博多で飲食店を出店し、大評判になりどんどん儲かる。ふと、常連から言われたラーメンが食べたいの一言で、ラーメン屋を出すことを決める。
出すからには、最高のものを作りたい。
最高のラーメンを最高のもてなしで食べてもらいたい。
それが一風堂の原点。
一風堂のラーメンが好きで、読んでみたけれど、実に熱い男の生き様の話でした。

新潮社
11/10/30
1700円＋税

ネット書店の隆盛により、バタバタと潰れていくリアル書店。
その中でも、町の文化の発信基地としての「町の本屋さん」存続のため、工夫を凝らしている人たちがいる。
業界紙記者であった著者が取材で知り合った、特色ある町の本屋さんにインタビューしたのが本書。
四国の山奥に本屋を開いたり、読み聞かせに力をいれたり、こだわりの棚作りを目指したり、そこにあるのは、ただ商品を持ってきて並べるのと対極にある矜持。
著者はインタビューしながらも、本屋は死んでしまうと悲観的だが、それが必要とされているのならば、無くなることはないとは思う。
明日のために頑張る人たちに。

ソニー・マガジンズ
06/05/20
2600円＋税

フチボウとはブラジル語でサッカーのこと。
国技サッカーがなぜブラジルで盛んになったのか。
ブラジルとサッカーを多面的多角的に語る一冊。
海外チームに流出する人材、有名サッカー選手とその周辺、腐敗するクラブチーム、サッカーと政治、兼業選手の家業、サッカーとリオのカーニバル、代表ユニォームデザイン秘話、などなど。
あまり多面的すぎて、途中でわけがわからなくなりそう。
個人的に一番好きなエピソードは、サッカーと呪術。
相手チームに呪いをかけるために、グランドに蛙を埋めるという。
全部ひっくるめて、サッカーを愛する国の話。

文藝春秋
02/07/15
1381円＋税

障害者プロレス団体・ドッグレッグスを主催している著者のノンフィクションノベルの三冊め。
今回は自団体の話をちょっと離れて、リングに魅せられてしまった人たちの物語をも綴っていく。
自分の団体を潰して、残されたリングのレンタル屋を始めた人。
父親が力道山を刺したというのが売りの女子プロレスラー。
インディ系の女子プロ団体でリングにあがる、女子高生。
リングには、たぶん、普通の生活を送っている人間にはわかることのできない魅力があるのだ。
そして、その魅力は、普通の生活を送っていると思っている人間さえも、引きずり込む魔力がある。
一方のドッグレッグスでも、いろいろと変化がおこっていた。
このシリーズを読むと、障害者＝いい人という図式は成立しないのだなあとよくわかる。
もちろん、成立している場合もあると思うが、＝いい人とならないのは、いわゆる普通の人間と同じだ。
いろいろと、現実を考えさせられる本。

角川書店
01/08/10
476円＋税

必殺シリーズ。かつて、熱狂的なファンを獲得し２０数年も続いた時代劇ドラマ。
そのスタイリッシュな映像美と、晴らせぬ恨みを金で解決というスタイリッシュな根本テーマで、絶大な人気を博していた時代劇ドラマ。
時代の趨勢には逆らえず、残念ながらシリーズは終了してしまったが、未だ根強い人気を誇っている。
こんな本が出るぐらいだし。
必殺ファンを広言する京極夏彦と、必殺ＦＣ「とらの会」会長と、必殺の元スタッフの座談会を中心に構成。
前期必殺シリーズ「必殺仕掛人」～「翔べ！必殺うらごろし」までの詳細データもあり。
オススメの話がチョイスされ、あらすじが載っているのも嬉しい。
映画必殺シリーズ詳細データと必殺闇知識、映像ソフトリストが載っているのも有り難い。
データ本としても、昔を懐かしむためにも使えるお得な一冊。

角川書店
01/08/10
476円＋税

こちらは後期必殺を中心にまとめたもの。京極氏らの鼎談も、こちらに収録。京極ファンにとっても、嬉しい一冊かも。
「必殺仕事人」～「必殺仕事人・激突！」までの後期作品と二時間スペシャルドラマの詳細データが、ファンには本当に嬉しい。
特に、スペシャルドラマは映像ソフトとして出ていないものが大半だし、再放送も望めない。
ホントにありがとうと手をあわせたくなるほどだ。
いったん終了したあとで作られた、三本の作品のデータも収録。
ファンによるファンのためのファンが楽しむ本と言っても、過言ではない。
どこまでも必殺、どこをとっても必殺。あの頃は楽しかったなあと、ノスタルジーに浸りたい時にオススメ。
できることなら新作が見たいものだけど。

新潮社
99/11/10
840円＋税

人とともに派生し、人の闇に棲まう妖（アヤカシ）。
その名も妖怪。
いくら、２１世紀になったとしても、人の心の闇がなくならない限り、妖のもの怪のものは跳梁跋扈することをやめず、虎視眈々とあなたを狙っているのである。
ゆめゆめ、油断なさらぬよう。
御用心めされよ。
本書は妖怪研究家の多田氏が、京極夏彦氏の小説に出てくる妖怪をわかりやすく丁寧に解説した本である……そうだが、マジか？
むっ、難しかったわっ！
速読しようとせず、一つ一つ丹念にその姿を想像しながら読んでいけば、なかなかおもしろい本だと思う。
が、時間にない時には、読んじゃいけない。
時間のある時にゆっくりと、楽しんで読むことをお勧めする。
民俗学に興味ある方には、格好の入門書にもなると思う。
京極夏彦、描おろしの妖怪イラストも、一体につき一点ついているので、京極ファンには必見の書。

新潮社
98/05/30
1400円＋税

誰も行こうともしないところに行く。
誰もやろうとも思わないことをする。
それでこそ、不肖・宮嶋の本懐である。
タイトル通り、本書は不肖・宮嶋が南極観測隊に同行した写真多目のルポである。
難曲観測船しらせに策を弄してまんまと乗り込み……と思ったら、罠にかけられていたのは、本人だったのかもしれない。
昭和基地に到着し、果ては精鋭たちに混ざって前線基地のふじドームにまで連れていかれてしまう。
極寒の地。
水すらも貴重な白い大地。
過酷な過酷な過酷としか言いようがない、任務。
自衛隊の隊員の方々には、頭が下がる。
だが、不肖・宮嶋はそんな過酷な大地の過酷な任務すら、笑いを交えて我々に伝えてくれるのである。
やっぱり、不肖・宮嶋は最高だ。