か行-7

宝島社
04/01/08
600円＋税

以前、宝島ムックとして出版されたものの文庫化。
北朝鮮に関して抱負な画像を掲載しての、貴重な本。真面目とおちゃらけの中間ぐらいの、なんとも言えない肌触りの本でもある。
実際に、朝鮮総連に妨害を受けた講演のレポがあるかと思えば、北朝鮮が出てくる世界のＡＶ一覧があったりする。
振り幅がすごい本書は、北朝鮮の真実に実は近いのではないかと、ちょっとだけ思った。

他にも、中国で食べられる北朝鮮料理店ガイドや、日本に潜入している工作員の見分け方なども掲載。
漫然と北朝鮮に興味のある人には、オススメ。

草思社
03/09/08
2200円＋税

ファシズムとしての健康志向。実は、ナチスドイツは世界で一番早くタバコ撲滅運動を始めていた。
それだけでなく、ガン撲滅運動を展開し、食品添加物の発ガン性を警告し、自然食を奨励した。
全国民の健康診断を義務づけ、ガンの早期発券早期治療に腐心した。
だがこれも、形を変えたファシズムであり、彼らが言うところの劣等民俗抹殺と同列にある。
自国民の健康に気を使ったのは、頑丈な労働者を確保するだけの理由であり、ナチスの理想とする国民は、働くだけ働いた後、引退直後に寿命を迎える人間だったからなのである。
……怖い。
著者であるロバート・Ｎ・プロクターは、科学史を専門とする学者。
ナチスの医学、科学と言えば、大量虐殺方面への印象が強いが、その一方で自国民の健康を気にかけていたという真実。
これは同じコインの裏表であり、そのどちらが側の背中にも、人を人とも思わぬファシズムが張り付いている。
恐ろしく、そして興味深い本。

文春新書
03/02/20
720円＋税

著者は現役の交通事故専門弁護士。
この本は、加害者被害者同士の争いではなく、加害者保険会社・被害者保険会社との争いを取り上げている。
事故保険で揉めた実例を挙げているので非常に勉強になる。
著者が言うには、保険会社というのは難癖つけて保険料をケチる、または払わないことに全精力を傾けているのだ。
確かに、保険金目当てにありもしない事故をでっちあげたりする輩は多かろう、が、ほとんどの人はいざという時のために毎月ちゃんと保険料を支払っている善良な人間なのだ。
それだからこそ、一方的に保険会社に詐欺呼ばわりされるという現実に呆然となってしまう。
本書には、保険会社が詐欺と一方的に断じて保険金支払いを拒否した実話などが載っていて、そら恐ろしくなってしまう。
長い塀の一部をつっこんできた車に壊されたのに、その部分の工事代しか出さないと言われた例。
保険料を勧誘員が肩代わりしていたため、保険料が支払われなかった例。友人が運転していた車で物損事故をおこしたら、詐欺扱いされた例。
読んでいて、なんだか目眩に似たものを感じてしまった。
保険会社から、正しく保険料を請求するために。いざという時のための心構えにぜひ。

ハルキホラー文庫
03/07/18
660円＋税

頚文社から出ていた「怖い本」シリーズから著書担当分を抜き出して再構成した実録怪談シリーズ、最終巻。
今回は、話の本数が足りなかったのか半分が未収録の最新作というサービス満点の一冊。
これだけ似たような実録怪談本を出しているのに、似たような話がほとんどないというのは、驚異的。
もし創作だとしたら、平山氏は天才中の天才と言えよう。
現実は小説より怪なり、を実感できる本。