か行-3

メディアファクトリー
10/04/25
552円＋税

【収録作品】
便所の神様　京極夏彦
きちがい便所　平山夢明
盆の厠　福澤徹三
糜爛性の楽園　飴村行
トイレ文化博物館のさんざめく怪異　黒史郎
あーぶくたった　長島槙子
隠処　水沫流人
縁切り厠　岡部えつ
学校の便所の怪談　松谷みよ子
厠の乙女　東雅夫

死ぬまで縁が切れないのが厠。
そこでは誰もが孤独と向き合い、外界から遮断される。
そこは出来れば、最新鋭にピカピカした機械仕掛けではなく、昔ながらのじめついた薄暗いぼっとん便所であって欲しい。
エッセイ2篇を加えた、書き下ろしトイレにまつわる怖い話。
平山夢明さんのなんか、期待に違わぬ出来で、文章から匂いたつようだった。

双葉社
11/11/20
1400円＋税

【収録作品】
異神千夜
風天孔参り
森の神、夢に還る
金色の獣、彼方に向かう

蒙古襲来の時代、大陸からやってきた金色の獣にまつわる物語。
日本にやってきた獣は、時代を超え、土地を変えて、延々と現代まで続いていく。
獣と関わった四つの物語。
端正な幻想文学であり、しかも、それぞれテイストが違うので、一冊通して読むと更に楽しい。

小学館
09/09/01
1200円＋税

信州の地域病院で働く栗原医師。
大学は帰ってこいと命令するが、地道に地元診療を続けているこの病院で勉強を続けたいと栗原は拒否している。
尊敬すべき院長、軽い同僚医師、厳しい看護士、優しく支えてくれる妻に囲まれながら、ゆっくりと患者に向き合っていく。
そんな医師の生活を描いた作品。
正直、一人称の文体が読みづらく、あまりピンとこなかったけども、内容的には面白いと思う。

竹書房
12/04/05
629円＋税

怪談実話シリーズ3冊め。
黒木あるじは完全に怪談界における自分の立ち位置を確立してしまったように、思える。
東北在住ということで、怪異というより妖怪が出てくるような話がまた、いいアクセントになっている。
ただ怖いだけではなく、怖さに翻弄され、ウロウロと途方に暮れる。
続刊が待たれるところ。

光文社
11/02/25
1500円＋税

【収録作品】
春　鵲の橋
夏　蜩の川
秋　南の絆
冬　橘の寺

リサイクルショップカササギ。店長と店員2人だけの小さな店、正直、全然儲かっていない。
因業住職に毎度してやられてしまい、赤字垂れ流しの只働きになることもある。
リサイクル仕事を通じて知り合った女子中学生の菜美は、この店に入り浸っている。
店長の華沙々木は奇妙な事件が大好きで、珍妙な推理をするが、菜美は華沙々木を名探偵と信じ込んでいるのだ。
菜美を落胆させないように店員の日暮は、こっそりと華沙々木の推理が当たったように見せかけ、裏では事件を解決していく。
青空が似合う、優しく微笑ましいミステリ。
彼らの一年の四季の物語。

ハルキホラー文庫
00/08/28
552円＋税

ホラーブームはまだまだ続くっ！
このままブームで終わらずに、一ジャンルとして定着してくれればホラー者としては、こんなに嬉しいことはない。
世の同志の方々、がんばりましょう。
新創刊されたハルキホラー文庫。
異形コレクションの編集としてのお馴染みの小説家、井上雅彦による、恐ろしくも美しい異形の物語。
ショートショートという形式は、意外と異形の物語によくあう。世界の断片を切り取って、思いもかけない角度から提示される時、ぼんやりしている時には気づけない美に驚いてしまうのである。
短いのでさらっと読めます。