七人は僕の恋人

伊勢志摩
宍戸美和公
猫背椿
田村たがめ
荒川良々
平岩紙
少路勇介
星野源
宮藤官九郎
峯村リエ
遠山景織子
池田成志

【物　語】
1 生きる
童貞の睾丸の中で暮らす三人の精子たち。ミノル(少路勇介)とイワタ(荒川良々)は、外の世界に出ていっても、どうせロクなことがないので、このままここで暮らしたいと言うが、真面目なナカテガワ(星野源)は外に出ていきたい。そこに、ガマン汁マン次郎先輩（池田成志）が先輩風吹かせてやってくる。カイ外(海綿体の外だけどね)に出ては戻ってくると嘯いている先輩は、外の様子をペラペラ喋るが、ナカテガワはガマン汁は精子ではない！とダメ出しする。打ちひしがれる先輩を尻目に、ミノルは「僕は生きる」と昇天していった。

2 バトルロワイヤル
田舎の分校、男子1人女子七人。女子クラスの椅子に使用済みティッシュ、その前に白ブリーフ一枚のマコト(星野源)とマコトの彼女の飯島愛(平岩紙)。教室の壁沿いには応援するかのように精子(少路勇介、荒川良々)が見守っている。愛はマコトを激しく責めたて「これは事件よ！テロよっ！」、マコトの言い訳を聞こうとしない。そこに新人の沢井先生(宮藤官九郎)がやってくるので、マコトは掃除道具入れに隠れる。愛は使用済みティッシュを沢井のだと決めつけ騒ぎたてると、中学生女子たちがすっ飛んでくる。田舎のヤンキー風(猫背椿)、コギャル風(田村たがめ)、片手が鉤爪の海賊風(峯村リエ)、青い柔道着(伊勢志摩)、ヒゲ生えた性同一性障害(宍戸美和公/池田成志)、普通に可愛い子(遠山景織子)。平井は女子たちに外に連れ出される。その隙にマコトは外に出てくるが、愛はご機嫌斜め。実はティッシュの乗っている椅子は景織子の椅子。マコトは景織子よりも愛のほうが可愛いと言うが、そこに景織子が教室に戻ってきて二人の会話を盗み聞き。そして、悪魔に変身するとミルキーをねだるのだ。そこに、ボロボロになった平井と女子たちが戻ってくる。愛は景織子に当て付けするために、「そういう行為は可愛いコではやらないという話を聞きました」と言うと、平井は「可愛いコでやるでしょ。みんな可愛くないし」と言い放つ、傷つく女子たち。いろいろ揉めてるうちに、マコトが「僕が犯人です」と名乗り出る。そして、「みんな机の中を見てごらん、ティッシュの花が咲いてるよ」とブリーフ姿で歌を歌い出す。「みなさんは僕の7人の恋人です」歌に合わせて踊り出す女子たち。「マコトくんの気持ち、みんなに伝わったよ」　「職員室にきなさい」とマコトは平井に連れられて行ってしまった。

3 惑星からの物体X
ビーチバレーボール試合の前日、選手のアサオ（田村たがめ）のへそから天狗の鼻が！　ペアのニシオ（遠山景織子）は能天気にはしゃいでいる。試合相手の中国人ペア（荒川良々・峯村リエ）は天狗の鼻を目立つための策略だと思い込み、自分たちのヘソに龍をつけて試合を始める。アナウンサー（猫背椿）、解説者カワイ（星野源）は試合を見守っているが、アサオは天狗の鼻のせいで倒れてしまう。雷鳴轟、倒れたアサオの代わりに現れたのは天狗（池田成志）。天狗が活躍すると思いきや、ポンコツだったので、あっさりと試合に負ける日本チームだった。

4 夢
パチンコQR伊勢志摩の撮影に挑んでいる伊勢志摩（伊勢志摩）。AD（少路勇介）の指示に従い、忍者軍団（伊勢、少路以外の人たち）と戦うリーチ映像を撮影しているのだが、絶対自分じゃない、誰かと間違えられているという考えがむくむくと湧いてくるが、ADは否定する。そうか、これは夢なんだなと思いながら、いろんなリーチ映像を撮影し、最後は伊勢志摩溶鉱炉ドボンリーチで、溶鉱炉に溶けていく。と、映像が切り替わりパチンコ店で斉木茂が伊勢は出るなあとパチンコを打っている。

5 サウンドオブミュージック
歌舞伎町愛の落とし物保育園の保母マリア（猫背椿）は、風俗で働いている女たちの子供（荒川良々/星野源/平岩紙/峯村リエ）の面倒を見ている。勤務中でも構わずヒモの池田（池田成志）は金をせびりにやってくる。悪い男とわかっていても別れられない。子供たちと遊んでいると、池田がダイスケママ（遠山景織子）とアフターで通りがかったり、酔い潰れたえっちゃんママ（伊勢志摩）がホスト（宍戸美和公/少路勇介）に引きずられていったり、しーちゃんママ（田村タガメ）が池田と遊びにいったりする。挫けそうだけど、今日も園児たちと頑張るぞ！

6 ブラックレイン
アクションスター桜庭ジュン（荒川良々）が新作映画の宣伝のため、47都道府県すべてにコメント付きスポットを撮影する。というのが、ショートコント的に3と4の前に入っていて、これが本編。宮城テレビ「ずんだずんだモーニング」に生出演している桜庭。司会なるすぃー（池田成志）、レポーターのくどちゃん（宮藤官九郎）、ご当地アイドル（遠山景織子、田村たがめ、伊勢志摩）は映画スターの出演にコーフン。AD（少路勇介）の合図で本番が始まると、今まで標準語だったのに、いきなり全員バリバリ訛り初めて、桜庭はわからないとブチ切れる。メイクさんが（宍戸美和公、星野源）がメイクを直しにくると、スポンジじゃなくて萩の月だったり、仙台っ子たちに翻弄されながら桜庭の宣伝行脚は続く……

7 友達のうちはどこ？
作文で花丸もらったと喜ぶちーちゃん（平岩紙）は大好きなおばーちゃん（宍戸美和公）に作文を読んであげるが、その作文は友達のキエちゃんのだったので、ちーちゃんはキエちゃんのちに届けることにして、道中、作文を読み上げる。キエちゃんのおとうさん・もつやん（峯村リエさん）、双子の弟・のもやん（荒川良々）とすごく仲がいい。キエちゃんのおかーさん（猫背椿）とのもえんの奥さん（遠山景織子）はぱいぱいが垂れ下がっている。もつやんとのもえんは日雇いで働いている。現場主任（池田成志）にバーに誘われた二人は、M1に出て優勝して賞金1000万円を獲得してくれと頼まれる。なぜかと言えば、日雇いの佐々木（少路勇介）が事故で亡くなったので補償金を払わなきゃならないのに、その金を使い込んでしまったから。でも、本当は事故じゃなくて、現場主任が簡易トイレに入ろうとしたら巨大便所こおろぎがいて、間一髪で逃げたんだけど、すぐに佐々木かトイレに入ってしまって、便所こおろぎが佐々木を便座に引き込んでいるところを目撃した……というネタでM1に出ないかと誘う。現場主任はトイレに立ち、入れ違いにフラメンコダンサー（伊勢志摩）がやってきて、拝んだりくねくねしたりの踊りを繰り返している、シュール。実は主任が金を使い込んでしまったのはダンサーと不倫していたから、説得されて二人はM1に出ることにする。ネタをやってる最中に巨大便所こおろぎが現れ、二人を宇宙に連れて行ってしまった。そこには佐々木ことちーちゃんのおとおさんもいた。「ちーちゃん、おとおさんは便所こうろぎになったけど、いつもちーちゃんを見てるよ」　ちーちゃんは驚き「今日便所こおろぎ殺しちゃった！」　そこにキエちゃんがやってきて、二人はそれぞれ自分の作文を取り替える。M1取ったどーと遠くから声が聞こえる。

8 ゾンビ
温泉旅館を訪れた年老いた父（池田成志）と娘・キョーコ（遠山景織子）。旅館の従業員（少路勇介）に案内されながら、アイドルのファンの集いがあるのでうるさいかもしれないと謝られる。部屋に着いた父はアイドル衣装に着替え、ショーの段取りを確認し始める。父は現役59歳のアイドル・ズッキー。今年限りでアイドル活動を辞める覚悟だ。さて、大広間でファンの集いが始まった。長年支えてくれているファン（遠山以外の女子）たちと歌ったり踊ったりクイズしたり、途中、かつらが飛んで禿頭が丸出しになったり、そんな楽しい時間もついに終わりに近づく。ズッキーは「今日でファンクラブを解散します……来年まで！」と言い出し、キョーコは慌てて止めようとするが、そこに現れたのはズッキーの息子（荒川良々）。父のことが嫌いだった息子だが、今日は僕もズッキーになりたいと、二人で踊って大満足。午前3時までショーは続き、従業員（宮藤官九郎）は布団を敷いていく。ズッキーの子守唄を聴きながら、ファンたちはズッキーの夢を見る。一人だけ、CR伊勢志摩の夢を見ている人もいる。と、ズッキーの呼吸が止まっている！　キョーコがみなさん大変と叫ぶと、ファンたちはチアガールに変身し、ズッキーを応援するのだ。

【感　想】
これでもかこれでもかの怒涛のコント。
前回「七人の恋人」の女性版コントオムニバスを作りたかったそうですが、前回よりもずっっっっっっっとの恐ろしいほどのパワーアップ。
やはりというか、大人計画女優人の演技の幅の広さと笑いへの純化は凄くないですか？　え？　凄いでしょう？　もう凄い以外の言葉が見つかりません。ワニった笑った、すげぇ。
そして、その大人計画女優人にヒケを取らない峯村さんと遠山さん、凄い、凄すぎる、素晴らしい！

そんでもっと、成志さん！　なんなんですか、成志さん。大人計画への馴染み方が凄いんだけど、でも、馴染んでいるようにも見えて、実は全然馴染んでないんですよ、表面に浮いてるんですよ、油膜のように浮いてるの。
そこがいい、そこが笑える。下手に迎合しようと思わないで、宮藤さんも馴染ませようとしない微妙な異物感が、なんつーのか、クランチチョコっていうんですか？　ふわふわの生地の中にガリっとした食感が残るというか。クセになる。

そして、荒川さん、少路さん、星野さんの3人がまた素晴らしくて。徹底的にモブに徹してる星野さんがいい！　役としてはモブだけど音楽はちゃんと主張しているし。「女子よ〜」の曲とか凄くいいし。なんだかさっきから凄いしか言ってませんが、本当に完成度の高い舞台で、なんでDVD発売しないのか、わけわかんないよ！　発売しようよ！

今回のサブタイトルはすべて映画で、内容も映画に一応合わせている感じですが、CR伊勢志摩！とかさー。そりゃあ「夢」でしょうけど、このタイトルにCR伊勢志摩！をチョイスする宮藤さんって、本当に凄いなあ。あ、また凄いって言っちゃった。伊勢好きからすると、ありがとうございますいただきます！って感じのコントで、見ている間ずっと幸福だった。

ああ、面白かったなあ。