蛇よ！

【物　語】
１　初めてのＳＭ
２　映画「出しっぱなしの女」＃１
３　突起物の女
４　映画「出しっぱなしの女」＃２
５　これからの人
６　映画「出しっぱなしの女」＃３
７　刺したね

１・事業に失敗したボンボン（松尾スズキ）が蓮沼が広がる田舎のホテルへ泊まっている。自暴自棄になった男は、ホテトルのＳＭ嬢（大竹しのぶ）を呼ぶが、女王様は蓮農家の女が副業でやっているものだった。

３・精神科医（松尾スズキ）のもとへ頭に何かが刺さった女優（大竹しのぶ）がやってくる。彼女の頭に刺さっているもの、それは中学生男子だった。中学生男子を見ているうちに、精神科医は、中学時代の自分を思い出す。悪魔を呼び出すと言っていた、あの友達はどうなったんだろう。

５・男（松尾スズキ）と女（大竹しのぶ）の精子は生まれてからのことを語り合う。女は、生まれたらミュージカルスターになりたいのだと夢を語るが、男は生まれたくないのだと語る。

７・借金のある水商売の女（大竹しのぶ）は、つい路上強盗をしてしまった。だが、犯行現場にケータイを落したせいで、刺した男（松尾スズキ）が追ってくる。男は10年に渡る引きこもり生活から、やっと復活したばかりのモヤイダだったのだ。
映画・水道の点検屋（松尾スズキ）と水を出しっぱなしにしている女（大竹しのぶ）の壮絶な戦いを描いた意欲作。

【感　想】
「鼻と小箱」再び。
もしかして、ひょっとすると松尾さんは否定するかもしれんが、ここにあるのはまず間違いなく、「鼻と小箱」再びなのである。
「鼻と小箱」ってなぁに？　というヨイコのみなさんにお答えすると、大人計画を脱退してしまった温水洋一さんと松尾さんのコントユニットのことである。
結成はよく知らないけど、たぶん、'90年ぐらい？　新宿シアターTOPSでやった唯一の単独公演が'93年なので、'91〜'92年かもしれない。当時、深夜枠でやっていた竹中直人やケラのギャグ番組でコントをやったり、イベントでコントをやったりしていた。
非常に面白かった。

その中でも、個人的に一番好きだったのが、タカハシくんとモヤイダくんのコント。絶妙な二人の掛け合いが好きで好きで好きで、まさか、そのモヤイダに12年の年を経て、再会できるとは思わなかった。松尾さんも、思わなかったかもしれない。
思えば、二人きりの出演者、コントとコントの合間にシュールな映像がはいるという構成自体も、「鼻と小箱」なのである。
でも、それでいい。なぜならこの作品は「鼻と小箱」再び、だからだ。
自分は単純に、嬉しかった。
すごく面白かったし。

松尾さんはともかく、大竹しのぶの役者魂に乾杯。
大竹さんが、このはちゃめちゃな世界に馴染んで表現してくれなければ、今回の試みはすべて真っ白な灰になったはずだ。
ＳＭのおばちゃんから、中学生男子、果ては精子まで。
止まるところを知らない変幻自在の演技力と、その演技力を引きだした松尾演出、素晴らしい。
もちろん、役者松尾スズキも素晴らしい。久しぶりに、うさんくさい松尾さんをたくさん見れて、シアワセだった自分だ。