紀伊国屋プロレス

飛び出せボーイズ


2000/09/23〜2000/10/13
◆紀伊国屋ホール

【作・演出】松尾スズキ/宮藤官九郎/岩松了

花

皆川猿時
村杉蝉之介
荒川良々

花
【物 語】
■オープニング
シブガキ隊(多分)の曲に合わせて、歌って踊りまくる3人。
しかし、踊っている時の皆川さんのあの顔(笑)なんであんなに面白いのかと思う。

■「とびだせボーイズのベトナム冒険記」作:松尾スズキ
行方不明の相棒の作曲家を探しに、作詞家関口(村杉)はベトナムへ向かう。
現地で車引きヤン(荒川)、アメリカ人ブコウスキー(皆川)と知り合い、ガイドに雇うことに。
川を奥地に向かう途中、嵐で沈没寸前に。
溺れるヤンとブコウスキー。どちらか一人しか助けることができない、選択に迫られる関口は……

■「マスク・ド・スカンク〜あなたにヒップアタック」作:宮藤官九郎
女子プロレス界の女王、マスク・ド・スカンク(皆川)。
しかし、彼女には誰も知らぬ秘密が……
そう、男なのである。恋人(村杉)の為に、本物の女になるべく女性ホルモン(実はスカンクのホルモン)を打ち続ける毎日。
ある日、桜庭あつこと名乗る女(荒川)が弟子入りしたいとやって来る。
そして、お寿司(桜庭のリングネーム)とスカンクの村杉を巡るバトルがはじまった……

■ゆりこちゃんと一緒 作:岩松了
ベンチに座っている少女(ゆりこ)に、男(皆川)が変質者まがいのことをしている。
そこへ、サラリーマン(荒川)がやってきて、止めにはいる。
ゆりこの母(村杉)らしき女が、ゆりこを探している。
と、突然一変して……今までやりとりは何だったのか?
そして、ゆりこちゃんの正体は?

■スタンドバイミー 作:とびだせボーイズ
仲良し高校生3人組みが、修学旅行で東京に来た。 皆川の姉を探すべく、姉が働いているというキャバクラへ向かう3人。
一人で店に入る皆川。お金が足りず、荒川の奇形のでべその手術代を貸すことに 。
店を出てきた皆川の様子がおかしい、そうただ遊びたいだけでした。
絶望する荒川。なんとかお金を工面し、手術完了? と思いきや、間違えて包茎手術をされてしまう。
そして、何故か荒川は本当は宇宙人でUFOが迎えに来たのでした……

■エンディング
チェッカーズの「I LOVE YOU サヨナラ」を何故か合唱。
意外だったのが、荒川さんが結構歌がお上手。
そして、村杉さんは相変わらず声高いな。
感極まって泣きながら、肩を寄せ合う3人・・・
もちろん嘘泣きなんだけど、嘘臭さがなんともおかしい。

■映像 監督・脚本:藤田秀幸ー
皆川は、もう3年程写真家(村杉)のモデルをやっている。
毎週日曜にモデルをやるというスケジュールに嫌気がさしてきた皆川は、村杉にやめたい旨を話す。
ショックを受けつつも村杉は承諾する。
皆川は気を取り直し、意中の女子をデートに誘うが あまりのダメさに嫌われてしまう始末。
一方村杉は、新しいモデル(荒川)に出会いイキイキした毎日を取り戻す。
そんな二人に嫉妬した皆川がある事件を起こす。
3人の運命はいかに……

花
【感 想】
■「とびだせボーイズのベトナム冒険記」
良くできている作品、さすが!といった印象。
シリアスに語りかけつつ、決してギャグは忘れない。"殴るふりして飴玉を口にいれる"というギャグもうれしい限り。
関口がどちらを選ぶか選択に迫られている時の、「人間の命には平等に価値がない。ホモの気分になって好みの方を選ぼう。」 というセリフがなんとも松尾さんらしいというか。
まあ、敢えてわがままを言わせて頂くと、まとまりすぎ? もう少し冒険してほしかったなあ〜と思ったり、思わなかったり。

■「マスク・ド・スカンク〜あなたにヒップアタック」
いやーもう、宮藤さん以外には考えられない作品です。
ほんっと、バカバカしいんですけど、でもこんなの誰も作れないでしょう?っていう。
とりあえず、皆川さんのスカンクがこの世のものとは思えないルックスで(笑)大人計画一のビジュアル王ですね。
あと、荒川さんのお寿司って……(笑)
最後、スカンクが首輪につながれて舞台を去て行くという、なんともパンクなオチは鳥肌もんでした。

■ゆりこちゃんと一緒
んー、難しい、小難しい。 あらすじが書けません、すいません。
なんだろうか?狂った世界というか、四つの中では異色な作品でした。

■スタンドバイミー
他の3人の作家が名作家だけに……3人のキャラだけでもっていた芝居かな〜なんて。
まあ、しょうがないのですが。ただ、最後UFOが迎えに来て、宙吊りになった荒川さんの姿がちょっと面白かったです。

■映像
いやー、これ本当に面白かった。
実に地味な内容で、もちろん笑えるところも多々あるのだけど、全体をとりまく暗くてネチネチした感じと、3人のダメさ加減が最高でした。
村杉さんの長髪写真家も胡散臭くてよかったし、荒川さんの「ちょっとしたことですぐへこむ」キャラとか(笑)
あと、ふざけ一切無しの皆川さんのダメ青年っぷりが意外によかった。
藤田秀幸恐るべしです。
本当、ビデオ化熱望!
そして、荒川さんの笑顔は無敵!

花