| ■ 小 説 ■ |
コメンテーター／奥田英朗 コロナ禍になっても伊良部は伊良部だ。相変わらず無邪気にやりたい放題やっているのに、結果的に患者を救っている。ラジオ体操は秀逸。現実でもやる人が現れそう。変な絵／雨穴 よーく見ると違和感しかない9枚の「変な絵」。関連性のない絵の秘密を解くと浮かび上がってくる、ある家族の惨劇とは…… 伏線の貼り方が見事で、絵がそのヒントになっているのが本当に上手い。怪談小説という名の小説怪談／澤村伊智 怪談というのはつまり怖い話だ。ということを存分に味合わせてくれる短編集。いろんな切り口での「怖い」 手練れに翻弄されていく快感よ。 |
| ■ ノンフィクション ■ |
ひどい民話を語る会／京極夏彦×多田克己×村上健司×黒史郎 尾籠な話で恐縮ですが。世の中には下ネタ満載の民話がひっそりと語り継がれている。妖怪好きの4人はひどい民話好きでもあったのだ。ひどい話をケラケラ笑いながら語っておられます。奇界紀行／佐藤健寿/p> 文庫本なので字が小さい。ぎっしり詰められた奇妙な世界。世界は奇妙で埋め尽くされていて、実はそちらが本当なのかもしれないと思う。 熔ける 再び／井川意高 ギャンブルで身を持ち崩しても、まだまだ辞められない。依存症の強さと怖さよ。それでも人生楽しそうなので、いいんだか悪いんだか。 |
| ■ コ ラ ム ■ |
こう見えて元タカラジェンヌです／天真みちる 宝塚に入団できただけでもスーパーエリートだと思うのだけど、劇団内にも当然ヒエラルキーがある。脇役ジェンヌとして「おじさん役」に活路を見出していく日々。軽快な筆致が苦労を感じさせないけど、いろいろと厳しい世界なのだろうと。厳しいからこそ輝きが眩い。天才はあきらめた／山里亮太 ドラマが面白かったので原作の自叙伝。ネガティブ僻み根性を逆手に取って、売れていく過程が実にの興味深かったです。蒼井優ちゃんと結婚できる時点で、山ちゃんは十分勝ち組。明日も一日きみを見てる／角田光代 猫エッセイ第二弾。外に逃げてしまったと判った瞬間の胸がきゅーとなる怖さ。愛はなかなか届かない。けど、たまに気まぐれに返してくれるのが猫。 |