物 語
感 想
英国留学中長塚圭史、今年唯一の仕事。
書かれたのは、もちろん留学前だけど。
歌舞伎桜姫東文章を、なんと南米に置き換えたという快作。
本家の歌舞伎は来月コクーン歌舞伎として上演されるのだけど、できたら先に原作を見ておきたかったかも。
大竹しのぶと勘三郎と古田新太の共演。
というだけでもう、他には何もいらないと思えるほどの期待値の高さ。
マジックリアリズムを取り入れた、幻想と現実が混じる合う世界、舞台世界を練り歩く楽団、乾いた砂と熱い風の幻影。
もうここは渋谷ではない。
どことも知れぬ国。
生まれ変わりと、現実と、お姫さまと娼婦。
毀誉褒貶、時代は変幻し、別れた恋人たちはいつしか別の形ですれ違う。
実力派の役者さんたちは、舞台の上にいるだけで存在感が違う。
圧倒的な熱量で観る者を魅了し、虜にしてしまうのだ。
それこそ、前世の恋人のように。