作品データ
公開日：2001年2月3日
監督 ：堤幸彦
脚本 ：横谷昌宏
主題歌：鬼束ちひろ「edge」
原作 ：戸梶圭太
キャスト
椎名桔平【白州勝彦】
窪塚洋介【秋吉宗貴】
仲間由紀恵【相川真紀】
勝部演之【保坂蜂太郎】
成宮寛貴【渋沢泰人】
渡辺謙【御代田警視正】
伊武雅刀【石巻修次】
野際陽子【教祖】
IZAM【岡部哲晃】
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見 所
仲間由紀恵、渡辺謙、野際陽子と、後に堤作品の常連になる方々が一挙出演している、豪華作品。
ついでに言えば、成宮くんの映画デビュー作でもあります。
戸梶圭太のヤスい(いい意味で)原作を、これまたはちゃめちゃな展開で盛り上げた作品。
コメディとしてのテンポもいいし、キャストもみんな楽しんでるのが伝わってくるし、正直、堤さんの映画の中ではこれが一番好きかもしれない。
堤作品の王道。
あらすじ
大手フィルムメーカーのダイトーに「溺れる魚」と名乗る男から、脅迫状が届く。はじめはその内容のバカバカしさから無視していた幹部だったが、都内のＤＰＥステーションに大ダメージが与えられてから、犯人の要求をのみ続けている。ダイトー幹部は密かに石巻警部（伊武雅刀）に犯人探索を依頼した。
一方、警察内部を観察する特別監察官室は、石巻の動向を探ろうとしていた。企業癒着だけでなく、かつて公安課にいた石巻には中国マフィアとつながっている疑いがあった。
スキャンダルに発展する前に証拠をつかめ。
特別監察官室長・御代田（渡辺謙）は、部下の相川（仲間由紀恵）に命じ、二人の懲戒免職寸前の刑事を内偵調査に起用した。
白州勝彦（椎名桔平）と秋吉宗貴（窪塚洋介）。
白州は暴力団の金を横領しようとし、秋吉は趣味の女装のためドレスや下着を万引きしていた。
免職と引換に、二人はしぶしぶ任務を引き受ける。
石巻は、新進気鋭のグラフィックアーティスト岡部（IZAM）の経営するクラブに出入りしていた。二人も石巻を探るためにクラブに通いだすが、岡部に気に入られてしまう。特に秋吉は岡部と淡い同性愛的友情で結ばれる。
石巻はギャンブルに狂い、ヤクザに莫大な借金があった。密入国の中国人親子の上前をはねているが、それでも追いつかない。ダイトーからもせっつかれていたある日、岡部が脅迫者だという確信をつかみ、岡部をゆすりにかかる。
岡部は石巻をたたきのめし、逃走する。
幼い頃、変質者に一家皆殺しにされた岡部は、どこか歪んだ感性を持っていた。
ダイトーのコンテストに入賞したが、その作品に家族の遺骨を使ったため、ダイトー側から入賞を取り消され、それを恨んでの犯行だったのだ。
岡部の部屋に仕掛けた盗聴器ですべてを知った警察は、岡部逮捕に動く。その前に、秋吉が岡部に自首するように勧めに行くが、秋吉にも盗聴器がつけられていた。
御代田の仕業である。
岡部は秋吉の前から姿を消す。
追い詰められた石巻は「溺れる魚」を名乗り、中国人親子を使ってダイトーを脅迫にかかった。金を持ってこいと。
ダイトー幹部はヤクザに護衛を依頼する。
石巻に指定された新宿サメ広場に、ダイトー幹部、幹部を護衛するヤクザ軍団、何者かに呼び出された岡部、石巻を逮捕しようとする警察、白州と秋吉が集結する。
しかも、そこには、白州の永遠のアイドルである宍戸錠（本人）の公開料理番組ロケと新興宗教の教祖（野際洋子）が説法を行っていた。
ほんの少しのすれ違いから、サメ広場で一般人を巻込んでの大銃撃戦が起こる。死者累々の中、中国人親子がダイトー幹部から金を奪って逃走する。
それを追う、白州と秋吉。途中から相川も合流する。
中国人親子は石巻を殺し、逃げ延びようとするが、御代田に射殺されれる。
金も戻りすべてが解決したかに見えたが、相川は、この事件は御代田が石巻にすべてを押し付けて殺してしまう計画だったということに気づいてしまった。
気づかれた御代田は、相川、白州、秋吉をも執拗につけ狙う。
東京港に追いつめられた三人の前に岡部が現われる。岡部は御代田に殺して欲しいと頼み、御代田はその願いをきく。東京湾に沈んでいく岡部。絶対絶命の三人。
だが、白州が御代田が泳げないことを見抜き、御代田ごと海に落ち溺れさせてしまう。
ようやく全てが終わった……と思った瞬間、御代田が白州の腕と海中の鉄の鎖とを手錠でつなげる。「弱虫なんかじゃないもん」と笑いながら御代田は沈んでいった。
秋吉と相川は、岡部の屍体が手にしていた拳銃で手錠を壊すことに成功する。
ダイトーからの脅迫金を着服した三人は、いずことなく東京の町へと消えていく。その後ろ姿を路上小説家（戸梶圭太）が見送っていた。
感 想
これぞ、堤幸彦の集大成ーっ！
「ケイゾク/映画」の時は、「は？エヴァですか？？？」的な釈然としない、もわもわがあったが、「IWGP」「trick」と堤的ステージを一気に1000段ぐらい駆け上がったはじけっぷりが、そのまんま継続されていて、実に実に気持ちいいー。
魚肉ソーセージに頭脳パンとか、どうでもいいような小物に異様に執着しているのが、最高っすっ！ モ娘。の衣装に執着しているおたく社員（村杉蝉之介）が、どこか堤さんに重なって見えるほどだ。
相川の投げたＦＤが御代田の額に突き刺さり、そのまんま追いかけてくるシーンとか、単純な割り算ができないヤクザの組長（白竜）とその舎弟とか、そのあたりのセンスがすごい好きだなあ。
サメ広場での銃撃戦も、呆然の一言。でも、ちゃんとストーリーに絡んだシーンになっているのが、プロだなあと、感心すること、しきり。
もちろん、独特の映像美も健在。デカイ画面で見ると、唐沢氏の色の素晴らしさがよくわかる。綺麗というのはああいうことを言うのだ。
しかーし、この映画で一番印象に残ったシーンは、白州と秋吉のキスシーンでなく（期待してたほど、色気がなかったし……何を期待してたんだ＞自分）、秋吉と岡部の絡みですね。すいません、こんな奴で。ごめんなさい、堤さん(T_T)
氷や蜂蜜を使った愛撫は、似たような洋画があったような気がするが（というよりパロ？）、なんつーかもう、「いやらしい」の一言です。それが堤さんの狙いならば、まんまと術中にはまったというものです。まいった、まいった、はっははは。
今までの堤作品は、ジャニーズアイドル主演のものが多く、それ故か、あんまり「いやらしい」という感じは受けなかったのだが、ああ、今年からの堤さんはきっと我々に【新世界】を見せてくれることだろう。
楽しみにしております。