公演データ

日程　　：2009年05月21日〜25日
　　　　　2009年05月29日〜31日
会場　　：下北沢スズナリ
　　　　　愛知県芸術劇場小ホール
脚本　　：佃典彦
演出　　：堤幸彦

キャスト

戸田恵子【島崎サクラ】
半海一晃【平山三平】
野添義弘【野村八郎】
多田木亮佑【佐々木竜一】
柳田衣里佳【小竹しのぶ】

見　　所

「キバコの会」とは、公式サイトによれば、
木＋□＝困。
毎回、困った人が登場する困った演劇ユニットらしい。
堤幸彦監督、半海さん、野添さん、多田木さんの４人の演劇ユニット、
それが「キバコの会」
ユニットを銘打ったってことは、これからも順次公演あり？
それは楽しみ。
旗揚げ公演は、戸田恵子さんをゲストに迎えて、
なんと、スズナリで興行というのがすごい。
このメンツでスズナリですか。
チケ取れたので、久々に堤演劇が見れる。
嬉しい。

あらすじ

とある劇団の千秋楽。
正直、ギャラも出ないような小劇団。看板女優・島崎サクラが映像の世界で活躍ているおかげで、客が入るような小さい劇団だ。
50歳過ぎても若手でバイトで食いつないでいる劇団員・平山と野村は、若造の演出家から打ち上げに来ないでセットのバラしをするように言いつけられる。
客演の佐々木も居残りを命じられ、三人はぼやきながらバラしを続ける。
と、そこになぜか売れっ子女優の島崎サクラもいるではないか。
更にそこに、演劇少女・小竹しのぶが現れ、役者たちに矢継ぎ早に質問をしだす。
しのぶは、舞台監督ダンから注文されたラーメンを届けにきたと言うが、そんなはずはない。
ダンは朝から行方不明だったのだから。
じゃあ、しのぶの家にラーメンを注文したのは、誰だ？
実は……と野村は自分がダンを殺したのだと告白する。
酒癖の悪い野村は、昨夜ダンと一緒に飲みにいき、つまらぬことから口論になったのだ。
いや、本当はオレが殺したのだと平山も告白し、本当は自分が殺したのだと島崎サクラも告白する。
いったい、ダンを殺したのは誰なのか？

感　　想

あらすじだけ読むとまるでミステリのようだけど、ミステリでもありつつ、基本はコメディ。
しかしコメディだが、売れない役者の悲哀や、年をとって衰えていく女優の哀しみなどを鋭く描いている、多種多様な楽しみ方のできるお得な御芝居。
堤監督の作品らしく、あちこちに小ネタが散りばめられているので、パンフレットに劇中に出てくる演劇用語やセリフの解説をしている「素kipedia」なる用語集を掲載している、親切設計。
とにかく、中年オヤジ三人組がいい味出しまくりで、素晴らしい。
そこに芸達者な戸田恵子が絡んでくるのだから、これで笑わないほうがどうかしている。
柳田衣里佳は、あまり舞台慣れしてない役者なのかな？
見たのが初日だったせいか、全体的に肩に力がはいり過ぎていて、他の役者さんが軽やかすぎるので、ちょっと気の毒だった。
きっと、名古屋の楽には素晴らしい演技をしているに違いないが。
これも、経験の差。
舞台セットをバラしながら進行するという画期的演出で、舞台がただの空間に戻っていくように、役者たちもただの人間に戻っていく。
つまり「素。」
堤さん含めた、50代のベテランの味がたっぷり味わえた贅沢な時間でございました。