| ■ 小 説 ■ |
別冊 図書館戦争２ 有川浩 今年も有川作品はいっぱい読んだけど、ベスト1を選ぶとしたら、やはりこれ。シリーズ最終作にして、究極のスウィートビターラブロマンス。あの二人はいつくっつくのと読書をヤキモキさせていたカップルの顛末記。有川浩はまっすぐな人を描くのも上手いが、歪んだ人間を描くのも上手い。来年の活躍も楽しみ。カラスの親指 道尾秀介 直木賞落選作。なんでこれを落とすのか、理解できない！ 映像化できる作品だと思うので、ぜひぜひ映画にしていただきたい。タイトルの意味が理解できるラストは、まさに号泣。哀しいペテン師の物語。夏光 乾ルカ 著者のデビュー作である短編集。どれも深い哀しみの中に、一筋の光が見えるような物語。特に、「風、檸檬、冬の終わり」は傑作！ 人間の尊厳を描いた、すごい小説だと思う。ぜひ。 |
| ■ ノンフィクション ■ |
僕は猟師になった 千松信也 猟師に憧れながら運送会社でバイトしていた著者は、なんと同僚にベテラン猟師がいることに仰天する。とんとん拍子で始まった猟師生活。猟師の心得や狩猟の仕方、獲物の処理の仕方まで写真とともに詳細に記述。猟師になりたい人への入門書とも言える。東京見便録 斉藤政喜×中澤旬子 大切だけどないがしろにされがちなトイレ。そのトイレに真剣に取り組んでいる人たち紹介するイラストコラム。汚水処理場見学や下水道見学は圧巻。トイレ教育をしている女子校、秋葉原の有料トイレなども必見。新耳袋大逆転 ギンティ小林 突撃新耳袋の第２弾。心霊スポットに突入するも、まったく怪奇現象に襲われないのが愉快……と思ってたら、最後のページに心霊写真が！ やられたぜ。 |
| ■ コ ラ ム ■ |
中央線で猫とぼく 北尾トロ 中央線と猫は、いつもぼくと共にあった。上京して住んだ中央線沿いのアパートで、捨て猫を拾ってしまったことから始まる、猫との生活。猫好きの人、必読！ 登場する猫がすべて愛らしく、北尾さんのメロメロさ加減が微笑ましい一冊。俺だって子供だ！ 宮藤官九郎 クドカン子育て日記。結婚10年めにして、いきなり子供を授かってしまったお気楽夫婦の奮闘記というか、子供ができると人間ここまで変わるのか！という素朴な驚き。宮藤さん、いいパパやってます。用もないのに 奥田英朗 北京オリンピック野球を観戦してはぼやき、若者のメッカフジロックにオヤジ代表として参加し、四国お遍路ではヒーヒー言いながら、オヤジの沽券を見せつける。オヤジ作家によるオヤジ生活。奥田さんのぼやき芸は野村克也を超えたかも！ |