| ■ 小 説 ■ |
GOTH〜リストカット事件 乙一 予想通り、02年にプチブレイクした乙一。来年こそは、大ブレイク間違いなし。透明な文体、突き放したような適度な距離感、淡い言葉にできないぐらいの想いを描くのがうまい作家だと思う。今後の活躍が本当に楽しみ。だからドロシー帰っておいで 牧野修 02年の作品では、ＳＦ大賞をとった「傀儡后」よりも好き。とにかく異世界のイメージが凄まじい。ＳＦでは特に、イメージ想像能力が求められる分野なので、牧野氏のＳＦ作家としての資質が開花した感のある本。マジシャン 松岡圭祐 同程度に面白かった本がいっぱいあって、すごーく悩んだんだが、とりあえずこれ。以前に文庫かなんかで出た作品の、加筆修正単行本化。とにかくひたすらエンターテインメント。ここまで、娯楽に徹している作家もなかなかいないのでは。 |
| ■ ノンフィクション ■ |
ドナービジネス 一橋文哉 迷宮入り事件を追っている一橋文哉にしては珍しい、大事件ではない本。臓器移植ビジネスをテーマに、多方面から検証している。綿密な取材力は健在。人間の肉体が金に変わる究極のビジネス。知っておいたほうがいい世界。妖怪旅日記 多田克己・村上健司・京極夏彦 妖怪旅日記。妖怪好きな人は羨ましさにひきつけおこしそうな本。妖怪に興味ない人も、これを読んだら興味出てくること間違いなし。そういう意味では、実に正しい本。「噂の真相」トップ屋稼業 西岡研介 実は本屋で売ってるミニコミである「噂の真相」。ゴシップ雑誌として名高い雑誌を作っていた編集者が書いた、ゴシップができるまで。 |
| ■ コ ラ ム ■ |
ファッキン ブルーフィルム 藤森直子 web日記の単行本としては、かなり上の部類にはいる本。バイセクシュアルでＳＭの女王様を職業としている、直ちゃんのファッキンな日常。一部が、田口ランディ著「アンテナ」に盗用されたということでも話題になったが、盗用したくなる気持ちは少しはわかってしまうほど、刺激的。なにより、著者の直ちゃんがすごく魅力的で素敵だ。怪談徒然草 加門七海 見えるオカルト作家でお馴染みの加門七海の語りおろし実録怪異譚。三角マンションにまつわる話が、本当に怖い。ギリギリデイズ 松尾スズキ これまたweb日記。今やすっきり文化人になってしまった松尾さんが、まだ少しだけアングラだった時代。今から三年ぐらい前からの日記を一挙に単行本か。だんだんメジャーになっていく様子が見てとれて、ファンとしては複雑です。 |