10月に読んだ本
人はなぜ逃げおくれるのか／広瀬弘忠
災害学の見地から、いざ災害にあった時の人間の行動を分析。逃げ遅れてしまうメカニズムを解説。
問題な日本語／北原保雄編
日本語ブームの先駆けとなった一冊。最近よく耳にする、これはちょっと変ではないか……という言い回しを取り上げ、解説。気にしないで使っているものもあり、ちょっと反省。
8・1／山田悠介
ホラー短編集。一部で＜御大＞と呼ばれている山田氏の魅力が全開。ほぼ全作、なんだそりゃと呆然とすること請け合い。でもこれがきっと、山田氏の魅力なのだろう……とは思う。
新耳袋　第十夜／木原浩勝×中山市郎
実録怪談ブームの先駆けとなった一冊。一年に一冊の刊行もついに最終巻、十年めとなりました。シリーズは完結でも、実録怪談はまだまだあるので、まだ本を出そうな勢いだそうです。よかった。
しをんのしおり／三浦しをん
web上で連載されている「しをんのしおり」の第一巻。若手コラムニストの中では、ダントツに好き。おたく趣味全開のこだわり日常コラムが、はまる人には最高にはまる。
新お笑い北朝鮮／テリー伊藤
北朝鮮ブームが来る前から、北朝鮮に注目していた著者による、北朝鮮紹介本。北朝鮮グッズはもとより、北朝鮮で流行っている映画、文化なども紹介。不思議な国北朝鮮の魅力をあますところなく、提示している。
「噂の真相」25年戦記／岡留安則
スキャンダル雑誌として一時代を築いた「噂の真相」。25年間の歴史を名物編集長である岡留氏が語りおろした一冊。元々は、経済スキャンダル雑誌を刊行していた氏が、共同出資者に裏切られ、総合スキャンダル誌「噂の真相」を発行することになった件が、一番面白かった。次第に自画自賛になっていくのはちょっと、後味悪し。
とっておきベトナム／相馬東
ベトナムを愛するあまりに留学までしてしまった著者による、ベトナム観光案内本。全編、タメ口。なので、そういうのが嫌いな人にはオススメできない。雰囲気的には、素人がブログで公開しているような感じ。イラストは可愛い。
けなす技術〜俺様流ブログ活用法／山本一郎
元２ちゃんねるの「切込み隊長」としてお馴染みの、投資家山本一郎氏のブログ活用術……らしいのだが、なんだかよくわからない内容。経済評論でもないし、ブログ評論でもないし、２ちゃん批判でもないし。山本氏のファンならオススメ。
失踪日記／吾妻ひでお
本年度、いろんなところで絶賛されまくった、人気漫画家による漫画エッセイ。締切のプレッシャーから、ついに家出を刊行。浮浪者としてしばらく暮し、家に戻るもまた家出し、今度はガスの配管工として生計をたてる。そのかつての日常を漫画化。飄々淡々、客観的に語る日常生活は非常に面白いが、それほど絶賛するようなものかな……とは思う。普通に面白い一冊。
イヤなら見るなッ！／山本次郎
テレビ局勤務だからと言って、すべての人が華やかな仕事をしているわけではない。著者の仕事は、視聴者からの苦情受付係。テレビ局にかかってくる苦情電話の実態を、ユーモアを交えて書いている。ユーモアめかしているが、文章の中に潜む怨嗟がちょっと怖い。苦情を言う時は、相手も人間なんだと忘れずにいたいもの。
実録！平成日本タブー大全／別冊宝島編集部
現在日本のタブー。在日、部落、皇室……などなど。一般紙には決して載らないが、確実に存在している透明な存在。その存在をあえて語るというスタンスの本。別冊宝島、お得意ジャンルではある。個人的には、鬼畜ＡＶバッキーは、もっと一般的にも取り上げても良いのではないかと思うのだが……
ジェノサイドの丘　上・下／フィリップ・ゴーレイヴィッチ
20世紀最後の大虐殺と言われた、中央アフリカの小国ルワンダの民族紛争。その始まりから終結までを、丹念な取材で描いたノンフィクション。虐殺に至る過程とその渦中ももちろん恐ろしいのだが、一番恐ろしいのは虐殺後。世界中のマスコミがこの事実をほとんど報道しなかったということだ。資源のない小国は、世界から見捨てられたという一文が心底怖い。青少年必読書。
着物が欲しい！／群ようこ
子供の頃から、着物好きだった著者が語る、着物ライフ。ところどころに、着物コレクションやら、着付けをした著者の写真が出ているのだが、着物にハマルと楽しいだろうなということが、よくわかる。着物は小物も多いし、色や柄の組み合わせも難しい。それでも、うまくはまった時は、きっと快感なんだろうなと思う。これから着物を買おうと思っている人に。
週刊女装リターンズ／マツコ　デラックス
デブの女装者として有名なマツコデラックス。存在そのものが強烈な彼女の週刊誌連載の芸能人評がメイン。だが、巻末特集として、中村うさぎ＆くらたまゆみとの鼎談があり、中村うさぎに分析されていくマツコデラックスの自己崩壊のほうが、よっぽど興味深い。と同時に、中村うさぎってやっぱりすごいと思わせる一冊。
工作少年の日々／森博嗣
テーマを決めないエッセイ集。月刊誌に連載されていたエッセイは、テーマを決めず、その時に興味のあるものについて語るという縛り。おかげで、森氏のエッセイとしては、ゆったりとした時間が流れているような気がする。好きなものに語っているので、森氏のファンは必読。
新聞がなくなる日／歌川令三
インターネットの隆盛により、紙媒体は2030年までにはなくなるだろう……という予測がされている。本書は、その検証本。新聞の意義とインターネットとの共存を提示。形は変わろうが、ニュースがなくなることはこの先もないだろうとは、思う。
この駅名に問題あり／楠原祐介
合併ブーム（いや、ブームじゃないけど）により、とんでもない名前に変わる市町村が後をたたない。特に、ひらがな市は、すごく頭悪そうに見えるので絶対に住みたくない。とんでもない名前なのは地名だけではなく、駅名にもある。難癖つけてるだけじゃと思える指摘もあるが、地名からしておかしい駅名とか、スポンサー（？）名をつけてしまった駅とか、著者が気に入らない駅名を一刀両断。
鈍獣／宮藤官九郎
04年、岸田戯曲賞受賞作品。中学の時、偶然から同級生を殺してしまった男二人。その彼らの半生が、小説として雑誌に連載されている。書いているのは、何年も会ってない彼らの友達。その作家が町へと戻ってきた。男たちは小説を書くことを止めさせようとするのだが、作家は自分は小説を書いていないと言い張る。やがて、説得を諦めた男たちは、作家を殺すことを画策するのだが……
くど監日記〜真夜中の弥次さん喜多さん／宮藤官九郎
しりあがり寿原作のカルト漫画を映画化。監督・脚本のクドカンの映画撮影日記。半分は「ヤジキタ」のシナリオ本になっているので、かなりのお買い得感。写真も多数掲載なので、映画ファンなら買うべし。