| ■ 小 説 ■ |
ナミヤ雑貨店の奇跡／東野圭吾 とにかく上手い、文句のつけようのない完璧なエンタメ小説。構成、文体、キャラクタたちが抱えている秘密、縦と横のつながり、綺麗にまとまった結末。あまりに完璧すぎて、ぐぅの音も出ません。映画よりも舞台で観たいかも。要介護探偵の事件簿／中山七里 ドビュッシーの番外編だけど、こっちから先に読んでしまったので。2012年は中山七里に出会った年だった。白と黒の落差が激しい。どっちも面白いと思う。先が楽しみな作家だ。空飛ぶ広報官／有川浩 これまたテッパン、有川節全開。航空自衛隊の広報部が主役の小説なんて、有川浩にしか書けないだろう。番外編の東日本大震災直後の松島基地を描いた短編がすごくいい。たくさんの人に読んで欲しいと思える作品。 |
| ■ ノンフィクション ■ |
飼い喰い 三匹の豚とわたし／内澤旬子 2012年のペスト本。ブログも読んでいたけど、こういう一冊にまとまるとやはり、いろいろとセツナイ。自分で豚を育てて、屠畜して、そして喰う。タブーと言われる名前までつけて、愛情込めて育てて、そして喰う。ブログで募集した人たちとパーティーをして、最後の一かけらまで捨てずに全部喰う。体験の前では言葉はあまりに無力だが、それでも言葉がなければ伝えることもできない。爆発!現代百物語 新耳袋 危ないパワースポット／ギンティ小林 やはり、このシリーズを外すわけにはいくまい。今回は大阪の首つり廃墟、東京の謎の地下マンションと大ネタが二つ。肝試し的な怖さよりも、チーム男子の緩い絆が隙だ。突然、僕は殺人犯にされた／スマイリーキクチ 10年近くもネット中傷に晒されてきた芸人による、壮絶な手記。特に警察の動かなさ加減は、読んでいてすごく悲しくなる。裁判まで持ち込んでも、また検事が無理解だったりして嫌になる。因果応報を祈ってしまいたくなる。 |
| ■ コ ラ ム ■ |
生きる悪知恵／西原理恵子 バカ正直に生きて悪意に潰されるよりは、悪知恵を駆使して生き残れ！ サイバラ先生の教えはいつもシンプルでわかりやすい。大切なことはいつも簡単。猫怪々／加門七海 ある日道ばたに落ちていた死にかけの仔猫は、実は神からの御使い？ 霊的な飼い猫と暮らす日々をさらりと描いたエッセイ。まさにオカルト猫の日々。無菌病棟より愛をこめて／加納朋子 突然、急性白血病を発症してしまった人気作家による入院&治療生活。客観的に淡々と書かれているので、辛い出来事もさらりと読めてしまうのが、プロの仕事なんだろうな。 |