| ■ 小 説 ■ |
デブを捨てに／平山夢明 厭さにますます磨きがかかった短編集。表題作は案外スカッとした怪作ならぬ、快作だと思う。大家族ものとかもう、本当ゾクゾクするほどの厭さが、快感。営繕かるかや怪異譚／小野不由美 営繕を通じて怪異を払っていく主人公の連作。相変わらずの美しくも、くっきりと映像が立ちあがる文章が、怖い。救われぬモノの行き先は……続刊が待たれる。セメント怪談稼業／松村進吉 家業の土建屋を通じての怪異譚。もう終わりか……と思われたが、まだまだやれる。この先もまだまだ怪談を楽しませていただきたいと思います。 |
| ■ ノンフィクション ■ |
ペテン師と天才 佐村河内事件の全貌／神山典士 佐村河内とはなんだったのか。事件解決のきっかけとなったフリーライターの取材による、事件の全貌。合わせて新垣さんの本を読むと、本当に告発してくれてよかったと思う。エンジェルフライト 国際霊柩送還士／佐々涼子 異国で亡くなった遺体を空港でエンバームを施す。外国から送られてくる遺体は、ぎょっとするほど杜撰な処置をされていることもしばしば。一人一人を丁寧に綺麗に、遺族の元へと帰す。本当に大変だけど素晴らしい仕事。捏造の科学者 STAP細胞事件／須田桃子 STAP事件とはなんだったのか。大手新聞社化学部記者である著者は、豊富な人脈を通じ、STAP細胞の胡散臭さを暴いていく。のちに小保方女史に訴えられたほど、核心に迫ったノンファクション。 |
| ■ コ ラ ム ■ |
今日も一日きみを見てた／角田光代 西原理恵子せんせいのところから子猫をもらったその日から、猫バカ誕生。初対面なのに、この人には猫が必要と見抜いた西原せんせいもすごいが、猫好きすぎて、猫がひどいめにあう小説すら読めなくなった角田さんもすごい。猫は確かに、1日見ても見飽きない。死んで生き返りましたれぽ／村上竹尾 漫画家として行き詰まりを感じ、自暴自棄のむちゃくちゃな生活から、倒れて緊急入院。死んでもおかしくない状態から、無事に退院できるまでの日々を漫画で綴る。幻覚を見ている時の状態も漫画で描かれているので、すごく興味深い。これからも強く生きていってください。頭の中身が漏れ出る日々／北大路公子 安定の面白さ。最近、三浦しをんさんのエッセイ本がまったく出ないので、北王路さんの存在はますます貴重。人生のオアシス。 |